黎族(リー族:中国語Lizu))は、中国の55の少数民族のひとつ。古代「百越」のひとつ「駱越」の子孫と言われ、海南島の人口は111万人、黎(リー)族は、紀元前に長江南岸から現在のベトナムにかけて居住していた民族「百越」の一派だった「駱越」の子孫と考えられている。「駱越」は現在の広西チワン族自治区からベトナム北部にかけて住んでいたが、現在ではリー族の大半が海南島に住む。
リー族の言語は、シナ・チベット語族に分類されている。彼らには入れ墨の習慣がある。先祖とされる古代の「百越」の人々も鯨面・文身をしていた。魏誌倭人伝に書かれた倭人と同じ習慣である。女性は十代前半から入れ墨を始め、完成すると結婚できる習慣があった。リー族には紀元前の春秋時代から機織りを行っていた記録があり、早くから木綿生産を始めた人々とされている。主食は米、サツマイモ、トウモロコシ。漁業や家畜の飼育、野生植物の採取も行っていた。宗教は先祖崇拝や自然界の精霊信仰であった。
中国最大の少数民族である壮族(チワン族:中国語Zhuangzu)は、中国最大の少数民族でその人口は、1,600万人でオランダの人口とほぼ同じである。主な居住地域は「広西チワン族自治区」、雲南省南東部、貴州省南部などに住んでいる。チワン語は、タイ語、ラオス語などと近隣関係にあるとされる。約1000年前に独自の文字が作られたがあまり普及しなかった。しかし、中国の人民元(人民幣)の紙幣には、モンゴル語、チベット語、ウイグル語と共にローマ字表記のチワン語の表示されている。
チワン族の伝統芸能で、旧暦の3月3日に行われる「歌の掛け合い」がある。若い男女が即興の歌を交換し恋愛感情を伝える。この風習は中国南部や東南アジアなどに広く見られる。日本でも「歌垣」と呼ばれ、記紀にもその記述がある。また、平安貴族などが男女で恋愛の和歌を交わした習慣(相聞歌)にも関係しているのではないかと言われる。
もうひとつのチワン族の中国南部や東南アジアなどに広く見られる銅製の太鼓「銅鼓」がある。銅鼓は宗教的な意味を持つ楽器として使われてきた。また、インドネシアのガムラン音楽で多用されている銅製のゴングとの関連を指摘する声もある。日本の銅鐸も同じ系統のものではないかという説もある。
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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術